2023年3月9日から15日までの1週間弘前大学探検部の川強化合宿に帯同して御岳へ遠征していました。
前後の1日ずつは移動日(青森-東京間は高速で約10時間)なので実質的には5日間の練習日でした。
今回はリバベン艇3チーム+自主参加ダッキー1人+老害運転手1人(私)で参加しました。
御岳で指導をしてくださるのは多摩川ラフティングツアー・コンセプト・みたけカヌー教室代表の小田さんです。私のカヌースラロームの師匠でもあります。
5日間のレッスンでは残念ながらラフティングもカヌーもうまくなりません。練習方法の詰め込みを行い後は自分たちで練習し消化していく他ないのです。しかし、消化不良を起こすだけ詰め込むので後々消化しようとした際訳がわからなくなることがあります。そこでここでは「この練習にはこういう意味があるんだ!」という解説と、実際に小田レッスンを受けたことがない人でも受けてみたくなるメリットやカリキュラムを簡単に解説したいと思います。
Day1練習内容
小田レッスンのスタートは必ず座学から始まります。その時のメンツのレベルに合わせて時間は前後しますが理論から入ります。この時あえて理解できるであろう理論を伝える時と、その時は理解できなくてもやっていくとなんとなく身体で掴んでくるであろう理論を伝える時とに別れます。これも人数やレベルによって異なります。
今回は30分ほど座学をしてから午前中はそれぞれカヤック(リバーカヤック:プリヨン・ジャクソンetc)に乗りシングルブレードで基本的なパドリングの練習をしました。
午後は午前中教わったことを元に白丸湖の指定されたコースを5周するという練習を行いました。
午前中技術練習
カヤックに乗って行う基本的なパドリング(シングルブレード)練習です。まずは1人でまっすぐ進めなければ4人でまっすぐ進む訳がないということでそれぞれがまっすぐ進む練習をします。
基本は1・2・ラダー(2からラダーはパドルを抜かない)を繰り返し一定のリズムで進んでいきます。これが1・2・3・ラダーというふうにフォアード回数が伸びてくれば1パドルで曲がる量が少ない=直進慣性に働くということで良い兆候と言えます。
さらにラダーもじっくりと効かせるラダーとクイックに引っ掛けるように効かせるラダーとどっちがより実践的なのかを実技を通して体感させてくれます。どちらが良いのか気になる方はレッスンを受けてください。
午後5周
白丸湖の小田さんが敷いた任意のコースはカヤック(プリヨンスクールライト)で私が最短11分30秒±10秒で5周です。スラローム艇カナディアンシングルで13分00秒±10秒で5周が限界でした。ちなみに距離は1周約1500mでターンが2回入ります。
白丸湖はくの字型に折れ曲がっていて前半は右コーナーで折り返して後半は左コーナーになります。このコーナーをカヤックの場合はいかに左右対称で漕げるか、カナディアンの場合はいかにリーンなどでフォアサイド強めで漕ぎ続けられるかがタイムを縮める鍵になります。
お題としては5周を±10秒でラスト加速せずに心拍数120前後でゴールするというものです。
Day1裏テーマ
ラフティングチームにカヤックを乗せるのは複数日で練習をしに来てくれたチームのみです。一日だけこの日でお願いしますというチームは最初からラフトに乗ります。時間があるからこそカヤックによる個人レッスンがあります。カヤック(1人乗り)でまっすぐ進めなければ4人でまっすぐ進む訳がないというテーマもそうですが、隠されたお題として「自分のストロークにはこういう癖がある。」ということに自分で気づかせるお題でもあります。例えば同じ1・2・ラダーでも全く同じ長さで1・2を刻む人もいればどうせ2・ラダーだからと2を強めに漕ぐ人もいます。逆に1を強く引きすぎて2を弱めて流す人もいます。「5周して何が1番いいか自分と向き合え!」というお題でもあるのです。また、プリヨンもシングルブレードなら1周16分前後はかかります(初めての選手ばかりだったのでプリヨンでも22分ほどかかっていました)。5周すると軽く1時間を超えます。人によっては2時間以上連続で漕いでいます。そうなると当然ですが身体のいたるところが悲鳴を上げます。それをうまく聞き分けて如何に無駄なパワーを使わず効率よく進めるかという練習も含まれています。当然パワー全出力で1時間は身体が持ちませんので、技術が必要になります。
1周目は元気なのでパワーを使い、2周目でパワー切れで苦しみ、3周目で辞めたい気持ちと頑張りたい気持ちで葛藤し、4周目でコツを掴み始め、5周目で効率の良い動きを見つけ始めるといった具合でうまくできているのです。特にパワーがある男子は周回を重ねなければ力だけで解決できてしまったりするので技術が伸びません。あえて効率が悪そうな練習をすることによりパワーではなく技術を伸ばすといったやり方です。
Day1まとめ
うまく操船できるできないなんてのは正直技術の差があるので複数学年入り混じった学生に教える上ではナンセンスだということは小田さん自身よくわかっています。夜飲んだ時に私には「あの子は頭ひとつ抜けてるね。何年生?」と聞いてきていました。
レベルや実力を把握した上で指導をするのは当然のことですが、後輩にも頑張って欲しいということで煽るという意味も込めてあえて一緒に指導します。
もちろん個人艇が上手い=ラフトが上手いではありませんがある程度の相反関係はあります。また、同じパドリングという点においては参考になる部分も直接的に取り入れられる技術もあります。
そういう意味でより自分のパドリングやリーンなどの操作がボートに及ぼす影響の大きいカヤックを体験してみるというのが1日目の体験内容でした。
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