御岳合宿備忘録Day2

大体の人はDay1で手に豆ができてテーピングが始まります。普段2時間も連続して漕ぐことがない上にカヤックはよく回るのでラダーの回数が増えて使い慣れないところを支点にしたりグリップ側を捻ってみたりと手に負担がかかります。そこで痛みが出たり豆ができるということはまだまだ力んでしまっているということです。

Day2練習内容

基本的な練習スタイルとしては朝に前日の振り返りと簡単な座学を行います。そして午前中は簡単な前日の復習とその日の課題に取り組みます。

午前中:前日の復習

カヤックで1人1周(約25分・1500m)します。

前日5周しているので身体に色々な反応が出ています。1周だけなのでほぼウォーミングアップみたいなものですが慣れていないと肩や背中・腕の疲労との闘いになります。ちなみにスラロームで小田レッスン(大会に出場できるレベル)を受けるとウォーミングアップで3周約30分〜40分漕ぎます。そこから午前のセッションが始まります。

午前中:ラフトボートで操船

いよいよお待ちかねのラフトボートに乗った練習です。

操船といっても目標物を定めスタートダッシュと巡行を行うといった基本的なものです。

スタートは止まっているので船を動かすためのパドリングを行いスピードが乗ったタイミングでストロークを切り替えていくといった練習をします。この理論をしっかり学びたい人は小田レッスンを受けてください。このスタートはカヌースプリントでも似たような形で採用されており、動き始め→加速期→巡行といったようにストロークを切り替えていきます。

このスタートに加えてレースラフティングの課題として上がりやすい4人の目標物に対する見え方を修正します。自分が回転軸になるカヌー・カヤックに比べラフトボートは両端に乗るので目標物にバウが向いているかどうかを調整するのが難しくなります。目標物を陸にいる人間(コーチや仲間:今回は小田さん)にすることによりズレてるというのを言ってもらえてそれを毎回調整することにより選手間の意識の差を埋めていくことができます。

午後:自習

基本的には午前中にやったことを午後は自主練習という形で消化します。

小田さんのレッスンはどちらかというと練習方法の紹介とその練習において意識するところの確認を実演してみせるといったものなので自分たちで実際にやってみて技術を体得していくというスタイルです。なのでこの自習時間が非常に重要になってきます。

今回は最後に1日の練習を踏まえてもう1度ラフトボートで白丸湖を1周してもらいました。スタート・折り返し1・折り返し2と3回ゼロからの加速が入ります。いかに早く立ち上げられるかがタイムを縮めるカギになります。また、ラフトは重いので一気に加速させてしまわないと辛いです。ジワジワ加速させようとするとかなりキツイはずです。一度トップスピードまで立ち上げて漕ぎながら徐々に減速してきたのを巡航速度でキープする方が楽なはずです。

Day2裏テーマ

前日の復習も兼ねてカヤックに乗った後ラフトに乗り換えて基本的なパドリングの練習をするといった二日目でしたが、隠された課題がいくつかありました。

まず、初めのカヤック1周ですが真面目に1日目をこなすと慣れていない人だと肩・背中・腕だけではなく下半身も踏ん張るので疲労してきます。1日目は足をツッパたり膝のパッドでとっていたバランスが取り続けられなくなります。そこで座っているシートにまっすぐ座り、力まずに中心線でバランスをとるようになります。同様にラフティングでありがちなパドルに体重を乗せにいく漕ぎをするとバランスが崩れやすくなるため身体の開きと回旋のみで漕げるようになりバランスが崩れにくくなります。力を使うなといっても若者は力があるので疲労させてしまって使えなくするといった方法を取るのです。

次にラフトのスタートダッシュですが、パドリングの切り替えのほかに立ち上げる意識や切り替えを全員で行うというテーマももちろんありますが隠れたテーマとしてボートの「重み」を意識して欲しいというものがあります。グモテックスコロラドはカタログスペックで37.5kgとなっています。37.5kgを4人で単純に割るならば一人当たり9.375kgとなります。カヌースプリントk-1の重さは最低12kgでc-1になると最低14kgです。カヌースラロームでも最低9.0kgなので大差ありません。もちろん形状や材質の違いもありトップスピードははるかに劣るかもしれませんが動かさなければならない重量はそこまで大きくないのです。スタートダッシュで出力することによりいかに早くトップスピードまで上げるかというのはこの「重さ」に対する意識があるかないかが大きく関わってきます。それを感じて欲しいというのがこの練習をする意味の一つでもあります。ただパドルを引き込むだけではなくボートの重心(回転軸)を意識して初速を作り出すという意識が重要です。

Day2まとめ

ラフトボートはカヌー・カヤックに比べて安定感が段違いなので実力の有無に関わらず川に出てもなんとかなってしまいます。いきなり川で練習するのではなく、まずは静水でしっかり漕げるようにならなければいけません。静水でできないことを流水ではできません。まずは静水で自分たちの精度を高めていくのが二日目にめざしたものです。

目標物に向かって直進するというのは想像以上に難しくどうしてもスライドしたりずれてしまいます。流水では本当に微妙なズレで岩に当たるかどうかが変わってきたり、タイミングよく乗りたい波に乗れるかが変わってきます。

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