デザインパドル(カラーパドル)について

近年増えてきている(デザインパドル)について近頃質問を受けることが多いので、それについて記事にしていこうかと思います。

主な質問の内容というのは「色をつけると重くなったりするって聞きますけど、実際どうなんですか?」といった内容のものがほとんどです。今回は重量の検証とカラーパドルのメリットについて解説していきます。

重量

どれくらい変わるのかということで、同じメーカーのgalasport TEのブルークリア(クリアカーボン)を計測してみました。下の画像の2本を比べてみました。余談ですがボートもパドルも通常指定がなければフィニッシュに「クリア」という色をつけます。

まず長さがブルー145cm・クリア145.5cmでややクリアの方が長いです。この時点で検証失敗しているような気もしますが誤差だということにして先に進みます・・・。

修理歴はどちらもないので修理による重量変化はありません。

ブルーの方にはシャフトに滑り止めとして長さ45cmのヒートシュリンクチューブが巻かれています。同じような商品を検索したところこの長さだと約63gほどあるそうです。

それでは結果は

ブルー 687g

クリア 593g

でした!

その差94g!

そこからさらにチューブ分63gを引くとその差は31g!!

パドル全体で600g前後が平均だとした場合30g増量するということは単純計算で5%分増えるということになります。

もちろん重ね塗りの度合いや使う塗料の比重によってはもっと重くなるのでしょうが今回の検証ではこのまま進みます。

これを重いと捉えるかこのくらいの差なら許容範囲と捉えるかは個人の感覚に委ねることになりますが、個人的にはほとんど気にならない重量差かと思います。94g差の2本を同時に持って振ると「確かに違うな・・・」とは感じますが正直競技をしていて気になるレベルではありません。

結論を言うと『色をつけると重くなる!』ということです。

カラーパドルのメリット

カラーパドルにすることによる最大にして唯一のデメリットは「重くなる」ということでしょう。

ここからはメリットについて解説していきます。

まず一つ目は「個性を出せる」ということでしょう。

ずっと同じ色のパドルを使い続けているとあの人は何色のパドルを使っていると印象にも残りやすいですし、何よりも写真映えもします!また、チームで色を揃えると統一感も出てかっこよく見えます。

そして二つ目のメリットは「パドルが長持ちしやすくなる」ということです。ここからが最大のメリットですね(笑)

少し材料に関するマニアックな話にります(※興味のない方は読み飛ばしてください)。パドルやボートは紫外線に弱く直射日光に晒しておいたり、屋外で放置したりするのはよくないという話を聞いたことはないでしょうか?FRP製品を直射日光の当たる場所で長期間放置すると最初は透明だった樹脂の色が黄色がかって変色したり、ケブラー繊維の部分は鮮やかな黄色だったものがオレンジがかったように変色していきます。人間が日焼けするのと同じです。変色程度ならばまだいいのですがこれがさらに進行すると樹脂の表面がボロボロになり爪を引っ掛けるだけで剥がれるようになってきます。この段階までいくと樹脂に弾力がなくなっているので強度も下がっています。

基本的にパドルは屋外で使用するものなので紫外線にはほぼ100%晒されます。それを軽減するのがカラーパドルなのです。メーカーによっては樹脂に直接塗料を混ぜ込むところもありますが、多くのメーカーは完成したパドルにマスキング(ステッカーなどに塗料がつかないための養生)をして後から指定の色を吹き付けます。こうすることで樹脂の表面に塗料の膜が1枚足される形になり、直接的に紫外線ダメージが樹脂にいきづらくなります。もちろん自然河川で使用するとキズがついたりして塗装が剥がれてそこからダメージは入りますが、全体が常時紫外線に晒されるよりはずっとマシです。また、細かいキズもパドル本体ではなく塗装部分が剥がれるだけになったりするので非常にいいです。

長々と説明しましたが、カラーパドル最大のメリットは「天敵紫外線からパドルを保護できる」ということです。

カラーパドル購入の注意点

カラーパドルは全メーカーでやっているわけではありません。galasportの場合はメーカーでもやってくれるそうですが、時間がかかるので依頼を受けるとZOKEN(galaの国内販売店)でやってくれるそうです。VAJDAなんかもカラーパレットから指定するとやってくれますがどうしても時間がかかります。そこで購入時の注意点も何点かまとめておきます。

色の質感

メーカー注文も代理店の色塗りも町工場の塗装もそうですが必ずしもイメージ通りの色が来るとは限りません。通常カラーパレットというものから選択しメーカーに伝えますが、色はパソコンやスマホのディスプレーで見るのと実際に見るのとでは結構違いがあります。

下の画像は筆者のvajda艇です。皆さんには何色に見えますか?ちなみに白(white RAL9010)ではありません。

こちらの船はライトグレー(LightGrey RAL7035)という色です。最初見た時は「パールホワイトか・・・?グレーどこいった??」と思いました。

ちなみにホワイトはこちらです。

よーーーーく見ると微妙に発色が違います。

最初の画像がグレーに見えるという方や多少の色違いや細かいことは気にしないという方はカラーパレットからメーカー直接注文に挑戦してみてください!

予算

また、カラーパドルにするためにはどうしても別途料金がかかります。メーカによって様々ですが3000円〜というところが多い印象です。パドルではありませんがボートを単色ではなくデザインボート(柄を入れるなど)にすると20000円〜というところがほとんどです。

修理

もう一点カラーパドルの注意点としては万が一修理が必要になった際同じ色にならない可能性があるということです。塗料自体も経年劣化と日焼けがあるため、修理した際全く同じ色を塗ったとしても古い場所と新たに塗った場所で色合いに必ず差が出ます。もちろん以前の塗装を全部剥いで新たに塗り直すということも可能ですが工期も予算も跳ね上がります。

結論

多くの方々が懸念するようにカラーパドルにすると重くはなります・・・31gだけ(笑)。ちなみに31gのものってなんだろうと思って調べたところエスビー食品のラー油の小瓶が内容量31gだそうです。あれを重いと感じる人には大きな差になるかもしれません・・・。

個人的にはそれよりも得られるメリットの方が大きいと思います。

私の持論は「色はつけられるならつけた方が良い」です。圧倒的にカラーパドル推しです。

ただ、色をつけるとシャフトを触った時の質感が微妙に変わるのでそれが許せないという方はクリアのままいくか自分で好きなグリップを巻くなどの工夫が必要です。

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