三日目になると流石に全員疲れが出てきます(笑)
慣れない練習に加えて寝る環境もベットや布団ではなくマットを敷いただけのシュラフなのである意味当然です。しかし、言い換えるならリバベンや他の大会もお金を出して宿でもとらない限りこれ以下の環境なのでいい練習です。
Day3練習内容
Day1、Day2同様必ず朝は30分ほどの座学から入ります。
そしてDay2同様カヤックで1周してからラフトに乗り換えて練習をします。チームの人数やカヤックの出来次第では3日目から川(流水)となることが多いですが、今回の合宿では1年生が多く上級生が少ないという状況でカヤックも初めてでしっかりと練習する場はこれが初めてという人もいたので基礎を多めにやるということで3日間静水になりました。
午前:カヤックで1周
Day2同様カヤックで1周します。ボートがプリヨンやらジャクソンのヒーロー・スーパーヒーローとワインメイクではないのでボートによってタイムにはかなりの差が出ますが基本の1・2・ラダーができればある程度は進みます。また、色々な船に乗ることによってバランスの取り方や足が固定されていない状況でのバランスなど色々なことが経験できるのでいい練習かと思います。
また、三日目となると手が豆や水膨れでボロボロになるのでいかに余分な力を抜いて漕げるかが勝負になります。手の力は抜いても、出力するときはしないと進まないのでどんどん研ぎ澄まされていきます。
午前:ラフトでストローク数を減らす練習
任意のA地点からB地点までまずは普通に漕ぎます。タイムは小田さんの方で取ってくれて自分たちはストローク数のみ計測します。
次に同じ区間を何パドル漕いでもいい(数えはします)から早く漕ぎます。
そして最後に小田さんから指定されたパドル数で指定された目標タイムを目指します。
実は2番目の何パドル漕いでもいいから早く漕げというのは思ったようにタイムが出ません。それを体感してもらう練習でもあります。みなさん早く漕げと言われるととにかくピッチを上げたがりますがそれはあまり意味がないということを証明する練習でもあります。
午後:ラフトでターンする練習
湖を大きく使いバウラダーできっかけを入れて90度ターンを左右交互に繰り返してジグザグに進んでいく練習です。最初はバウラダーだと曲がらなかったりするのでキャッチ・スライス・パワーのコンビネーションでターンします。
意識するポイントとしてはバウラダーもキャッチも入れてからすぐには曲がりません。ターンするまでの時間(ラグ)を計算に入れた上で4人揃って立ち上げる1打を正確に合わせるというものです。
ターンの練習をしながら立ち上げ意識と90度ターンの角度意識の練習も兼ね備えた練習です。
上記画像の黄色★の位置でキッカケ(バウラダーorキャッチ)を入れます。キッカケが入ってもボートはそれまでの慣性が残っているので回りながら横に移動します。サイドスライドなのでボート自体が抵抗になり減速します。しかし、漕いでいるわけではないのできっかけだけではただ回転するだけで①のようになり放置しているとボートがただ回転していきます。
黄色●のあたりでは立ち上げを意識しなければならず、完全に進行方向を向いてから立ち上げようとするとボートの慣性が相まって①の真横の赤の位置から立ち上げることになりラインが外れます。
また、よくある失敗ですが立ち上げが合わなかったり弱いと②のように進みはするけど横滑りしている状態になってしまいます。
Day3裏テーマ
1人乗りのカヌー・カヤックはもっとやり込んでいくと裏テーマが増えてくるのですが5日間で行えるテーマ内容としてはDay2と一緒です。
今回新しく入ってきたのはラフトにおける直進の際のパドル数とキャッチやバウラダーを用いたきっかけからのターンです。
まずパドル数から解説すると、同じ距離を同じタイムで50パドルで漕ぐのと45パドルで漕ぐのとでは45パドルの方が1パドルで進む距離が長いということになり「うまい」ということが言えます。これを専門用語で「ディスタンスストロークレート」と言います。1パドルにおける進行距離ということです。スラローム競技などでゲートが詰まってくるセクションの場合は1パドルで1m進めるのか1.2m進めるのかで大きな差になってきます。そのためピッチをあげる練習も大事だけですがディスタンスストロークレートをあげる練習も重要だという小田さんからのメッセージでもあります。ただ、ここで重要なのがタイムとの兼ね合いで最初に書いたように「同じ距離を同じタイムで・・・」が大前提です。ものすごく大きく漕いでピッチを落としてゆっくりゴールしてもいいなら簡単です。あくまでもタイムは同じで少ないパドル数でということです。
次にターン練習についてですが、キャッチやバウラダーといった基本的な操船技術は基本の型を教えたあとはやっていけば身につきます。この練習で本来身につけるべきはそのような基本的な操船ではなく立ち上げのタイミングやコントロールパドルを入れてからどれくらい待たなければいけないのかという感覚・立ち上げのパワーはどこまで出力していいのかという力加減などです。正直基本的な操船技術であるキャッチやスライス・ラダー・スカーリングなどは自分で磨いてくれというのが本音です。それができた上で自分たちの基本性能を知るための練習です。この練習は上級者でも使っていて主にウォーミングアップで自分の体調を確認するために使います。左右のキャッチ・スライス・パワーで体の感覚と立ち上げにどれくらい出力しているかを(感覚の中で)測っていきます。ただジグザグに進むというのは不安になるくらいシンプルな練習ですがシンプルなものほど極めると深くなります。3日目のラフトには当然説明しませんが突き詰めていくとキャッチ後のボートのリーンによる引っ掛けや立ち上がりの際のフォワードパドルのサイド指定など削る場所はいくらでもあります。そのとっかかりを感じて欲しいという小田さんのメッセージが詰まった練習でした。
Day3まとめ
長い長い3日間の静水練習でしたがここで練習したことが確実に流水でいきます。本来ここまでの事に加えて「リーンによるボートバランスと慣性の固定と解放・逆慣性への転換」「おくりパドルによるリズムの安定」「フォワードの中でのコントロールパドル」までを教えた上で20日間かけて白丸湖を100周するというのがスラローム選手育成プログラムの冒頭です。それを乗り切ってからいよいよ流水に入ります。5日間しかないので本当にさわりの部分をかいつまんでやっているだけです。スラロームを極めたい方はみたけカヌー教室の門を叩いてください。現にこのプログラムから禰寝というJrナショナルチームに入るアスリートを輩出しました。
シンプルな練習にほど真理があります。川で練習する以前にやるべきことは山ほどあります。今一度静水練習の重要性を確認しましょう。
コメント