御岳合宿備忘録Day4

お待ちかねの川(流水)練習です。疲労が溜まっているを通り越してやつれているといった方が正確でしょう・・・(笑)

この日は小田さんに誘われて私は午前中ラフトツアーをしていたので午後からの参加でした。しかし、聞いた話とこれまでのカリキュラム上何をしたのかはおおかた予想はつきます。

Day4練習内容

Day3までの練習と異なり朝から流水での練習です。これまで静水でできていたはずのことがいきなり出来なくなるのが流水です。静水でやっていたことをいかに流水で活かせるかが課題になります。

午前:杣の小橋周辺

基本的な操船を行います。杣の小橋周辺でのストリームインやストリームアウトなどの他に12時キープやストリームインからその慣性を止めないようにした回転などを行います。基本的にはDay3までに湖でやったことを流水に落とし込むような練習です。

午後:カップスター周辺

午後はカップスターでストリームインからの角度指定・方向指定を入れた流水でのボートコントロール練習です。これが実は意外と難しく「そこの岩下を10時で11時慣性のままストリームイン」と言われてもままならなくなるのです。湖でずっと直線を作ったり慣性コントロールするというのはこの練習のためにあった練習なのです。ここが安定しないとそもそも川での練習は話にならないのです。毎回同じ条件でストリームインができた上でもっとリーンを強めるとどうなるのか、もっとフラットに近づけていけないのかというのを研究するのが練習です。川に出て1回目だとどうしてもこの前提条件が安定せず練習になりません。

そして最後は杣の小橋をスタートしてスプリントピッチまで上げて下ってきながらカップスターの左岸に入るというプチスプリントというお題です。事前のライン確認や隠れ岩の位置把握などが重要になってきます。また、どのタイミングで左にきっかけを入れるかのタイミングも重要です。お題としてはトップスピードでまっすぐ下ってきて左岸のエディーを取るだけですが意外と考えることが多いのです。

Day4裏テーマ

Day4は流水に出たら基本的にやることとして、カヌースラロームであればウォーミングアップ的なテーマの紹介でした。実はその意図もあって小田さん自身もこれくらいはウォーミングアップとわかっています。基礎的な練習や簡単な練習というのはついつい蔑ろにされがちですが、アップとして流水に出た際のルーティンに取り入れられれば毎回その練習をすることになり、そうすれば徐々に技術に磨きがかかります。ゲート練習やフルランなどはその最終形態であり最初からやるものではありません。超基本的な練習にこそ本質がありそこを磨けば上が見えてくるというメッセージがあります。

最後に行った杣の小橋からカップスターにかけて下るというお題ですが実は少々意地悪なお題になっていました。実際のところ3月の水量ではカップスターの左岸を直進できるラインは限られます。それを少しでも外すとスラ艇は破損・ラフトはスタックが待っています。隠しラインですがカップスターの岩に当たるラインから4時狙いを初めてタイミングを合わせて漕ぎ出すとドンピシャで左岸に入るラインがあるのです。これを見つけられるか、左岸よりをまっすぐきて波に当たるタイミングでドンピシャのラダーを入れられるかのどちらかしかほぼ正解はありません(人智を超越したパワーで漕げれば話は別です)。しかし、ここにもメッセージがあって実は難しいお題だというのは水量的にもわかっています。ここで意識して欲しいのはステップアップレベル1のテーマであるライン・角度・タイミングのなかのタイミングです。タイミングがドンピシャでなければならず100回このお題をやったら100回タイミングが合わなければならないのです。そして本当のレースシーンでは練習もしていないセットに対して1回でタイミングを合わせなければならないのです。カヌースラロームではもうすでに1/100秒の闘いにまで達しています。ほんの少しのずれが積み重なるだけでも勝てる世界ではないのです。それを実感して欲しいというお題でした。タイミング合わせはストリームインなど他の技術にも通づるところがあり、ストリームインも(入りたい場所によりますが)「踏み切り→キャッチ」の踏み切りのタイミングがズレるとうまくいきません。この踏み切りのタイミングにこそ集中でその一打のために前後でどうやって帳尻を合わせるのかが技術でそこを見ています。細かく漕ぐ人もいれば一拍置く人もいます。それが波とスタイルにあっていればどちらでも問題ありません。この「タイミングの一打に集中」というお題でした。

Day4まとめ

少しでも流水を経験した人が受けると「なんだ簡単じゃん」と思うようなお題ばかりですが、実際にやってみるとなかなかうまくいきません。ストリームインやフェリーグライドの不安定さに加えて流水域における自分たちの性能過信や立ち上げの出力不足など次から次へと課題が出てきます。普段自分達がやっているお題に近いようなものにプラスαしただけで途端にできなくなります。ここから導かれる結論は普段練習を重ねていても「それは上手くなったのではなく単にコースに慣れただけ」ということでしょう。いつも同じところにゲートラインを張って同じようなゲートセットで練習していませんか?大会でいやらしいセットだなと思ったものを率先してやっていますか?

その苦手を見抜いて丁度いいレベルで負荷をかけるのがコーチや指導者の役割です。

また、ラフティングはチームスポーツで最低4人います。詳しい表記は避けますが今回の合宿で上級生(3・4年)は2人しかいませんでした。そして1人(4年生)はダッキーで外れていました(彼はHORUに推薦しました)。小田さんは正確にその上級生2人を見抜いていました。呑みながら練習の話になり「彼と彼は頭ひとつ抜けている。」と言ってきた2人は2人しかいない上級生で、ラフトに乗っていた3年生はポジション名指しでドンピシャでした。5日しかない練習ではそこまでいきませんが、もっとやっていくとその上級生にだけ負荷がかからない(他3人を主体にした)お題を出してきたりもします。それを見抜くのも指導者の目です。

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