ラフティング:レース戦略『DR』

いよいよDRまできました!

個人的に大好きな競技です!漕いでいると当然苦しいし辛いのですが流れに合わせて上手く乗れた時などは気持ちよく「この時間が永遠に続けばいいのに!」と思ってしまう変態競技者です笑。

今回も寄せ集めチームや、まだまだ川は始めたばかりという新人チームにフォーカスして書いていきます。

自分達なりに最速があるというチームは最後まで信念を貫いてください!下手に揺れる方が上手くいかないので自分達のやり方を信じてください。

DR競技の変遷

実はDR競技はIRFルール(近年はIRF×WRFのラフティングユニオンの中のアドベンチャールール)の中でもいまだに暗中模索が続いている競技の一つです。

私がレースラフティングを始めた頃はそれまでの順位が低いチームから1艇ずつの発艇でした。

それが増えて3艇同時発艇になり、ランニングスタートだったり乗艇スタートだったりとバリエーションを増やしていきました。そこからリバベンでは2艇になったりとさまざまです。

論理的に考えて公正を極めるなら速いチームから1艇ずつです。速いチームからであれば後続に追いつかれることが基本的にはありませんし、追いつかれても1艇ずつなのでその時点で優先権が明確です。逆に安全性を考えるなら速いチームから複数艇同時発艇です。複数艇にすることにより万が一の際のレスキュー体制は確保できますし、カヌーワイルドウォーターのように見捨てたら厳罰という形にすれば安全性は担保されますが、組内なら妨害しても良いという暗黙の了解を生みかねないので、公正さは担保されません。最悪なのは遅いチームから複数艇同時発艇です。これはレース時間短縮という運営ファーストな方式で、前のグループに追いついてしまい邪魔な上に乱戦になって優先権がわからないまま共倒れということがよくあります。

本気でフェアなスポーツを目指すなら1艇ずつが確実ですし、安全性を考えるならルールーでガチガチに縛って速い順に複数艇といったところでしょうがいまだにIRFも答えを出せていないようです。

コース戦略

前置きが少々長くなりましたがここからは具体的な戦略について語っていきます。

前提としてリバベンにおいては今回もおそらく複数艇同時発艇でしょう。

それをベースにお話ししていきます。

①スタートの位置取り

複数艇同時発艇のDR競技において最初の位置どりは非常に重要です!この位置によってその後の戦略が全く変わってきてしまいます。

みなかみの場合DRはおそらく水明荘上の上越館下スタートで、それまでの順位順のコース選択権を与えた3艇(ないし水量による安対判断で2艇・4艇など)同時発艇でしょう。対岸発艇ではなく、縦一列の発艇なのでコース選択権がものすごく重要になります。

リバベンDRスタートイメージ

今年もこの方式になるかはオフィシャル次第ですが、DRが複数艇同時の場合は地形的にもおそらくこの方式が一番有力です。

縦に複数艇同時発艇の場合は相手や組み合わせにもよりますが真ん中が圧倒的に不利だと個人的には思います。本来DRは妨害行為は禁止となっていますが、複数艇同時発艇の場合のスタートは暗黙の了解になっている部分がありバチバチにぶつかり合います。真ん中は左右から挟まれるので両側漕げなくなり結局出遅れるというパターンがかなり多いです。

一見すると下流側が一番有利に感じられますが、本流に出てスピードに乗せていきたいなら一番上流も捨てがたい選択肢になります。実は下流側というのは上流2艇のポケットになる位置で地形的にもボートがキープできるくらいの流れだからスタートラインになるわけであって本流からは微妙に遠い場合もあります。

相手チームや自分達の得意分野・コース選択権にもよりますが、スタートダッシュに自信があるなら最下流、ぶつかるのは苦手だけど巡航速度に自信があるなら上流、競りながらでも前に出る自信があるのなら中央といった具合です。

もちろんスタートポジションの地形や同時発艇組内の相手の得意分野、左右バランスによる競り合いのストロングサイドなど様々な要素が絡み合うので一概に「ここが良い!」というのはありません。

②スタートから巡航まで

H2Hじゃないとは言いつつスタートから巡航に入るまでのポジション争いはバチバチにぶつかりますしなんならここでのポジション争いがその後の戦略を大きく変えてきます。

結論から言うと前に出られるなら前に出た方が圧倒的に有利です。組内であれば追いつかれてもコースオープン権の所在が不明なのでコースを譲る必要はありませんし、手堅く自分達のレースができます。

スタートで使い切る必要はありませんがその後の巡航のしやすさやライン選びの自由度を考えても前に出る価値はあります。

もしトップを取れないのであれば次は2番手です。競り合って団子状態だとしても3番手だと流石にみなかみで2艇抜くのはシンドイ状況になってしまいます。

ここでちょっとしたテクニックなのですが、2番手以降の場合相手のポケット(車で言えばスリップストリーム)について楽をしながら機会を伺いますが、ポケットは前の船にピッタリとつけず1mから2mほどあけて使った方が楽です。ハイレベルな組みになればもう少し寄せても良いのですが、あまりピッタリとつけると相手の少しの動きでポケットの横のウェーブに乗ってしまい自分達のボートがブレたり、前走チームがスタックしたら自分達も回避しきれずダブルスタックなんてこともあります。場所にもよりますが相手のポケットの恩恵を受けられる位置にしっかりと入れればある程度間隔が開いても大丈夫です。そもそもピッタリつけすぎるとポケットのボイルでコントロールしにくくなります。

ポケットを使うイメージ

あくまでも静水域かそれに近い場所でのイメージですが、前の船が進むと水面を切り裂いて進み波が両サイドに広がります。実はこの波が厄介で、①のように真後ろにつけるとポケットの恩恵を受けるための壁のようになるのですが、ポケットで加速して波を越えようとすると一瞬壁があってバランスを失います。カヌーなんかではこの波を使ってサーフィンして一気に前に出たりできますがラフティングではほぼ邪魔なだけです。図の②のようにギリギリから抜けようとすると壁が高くなかなか安定せずやっぱりポケットに戻ろうとなることが時たまあります。

オーバーテイクの際にはこのような波の影響を考えたり地形を使ってインから刺しに行くといった戦略が必要になるのでやはり最初で前に出るのが圧倒的に有利です。

③水上峡OverTake

それではここからは皆さん気になっているであろうどこでオーバーテイクをかけるのが良いのかというポイントを解説していきます。同時に個人的に長年のみなかみ経験で積み上げたこのセクションで勝負をかけるのはナンセンスと思う箇所も紹介していきます。

参考までに2022年にDRした際の動画です。地形が変わっている箇所も多々ありますが。新ルートが開通したり人工物が増えたりといったことは今のところないはずです。※レース前は必ずスカウティングを行い川の状態を確認してください。

ⅰ:鉄橋下

スリーウェイズ・モンキーコーナーと抜けて一度落ち着いてストレートが出る区間です。競り合っていれば前に出たくなるポイントではありますが正直ここで勝負をかけてくるチームはヤバイチームです。鉄橋下は手前も含めそもそも見た目よりもラインが狭く抜くほど加速できない上に競り合うとどちらかのチームが橋脚に行きかねません。オーバーテイクをかけて無理やり捩じ込んで前のチームが橋脚に張り付きでもしたら妨害を通り越して過失です。

その後の急激な左コーナも下手にアウトラインに行くと張り付きます。先行しているチームに無理矢理当ててラインを崩す行為も妨害行為になりかねません。まして壁が見える危ない状態とわかった上での接触は過失を取られます。絶対にやめてください。

ここでは前に離されたなら詰めていき谷川橋までにベストなポジションを確立し、自分たちが先行したなら安定させ呼吸を整える区間です。

ⅱ:JA前

近年谷川橋上流にとんでもないストッパー(アベニューや堰と呼ぶらしいです)ができましたが、勝負はその後からです。

JAから法政岩手前までは全域が勝負区間となります。

その中でも個人的なオーバーテイク区間はJA前右岸の護岸をすぎてゆったりと左コーナーを開始するあたりです。接触ではなく純粋なラインと出力で駆け引きができる区間です。それをすぎると法政岩の300mほど上流の県道61号の分岐入口があるあたりの法政エントリーで右岸により始めるタイミングです。ここも浅いセクションですが岩よけと微調整のテクニックで前に出たり艇間を詰めていけるスポットです。

後発チームは相手のインを狙える位置につけてギリギリポケットから加速できる位置でチャンスを伺い、先行した場合はとにかくスタックせずベストなラインを取り続けるだけです。

ⅲ:ミナカミウェーブス

温泉街の後半でただバチャバチャして楽しい場所です。ラインが複数あるので抜きに行きやすそうに感じますが、意外と右も左も変わらなくて結果的に抜けなかったという事案が多発するナンセンス区間です。

その後のサーファーズは正面から落ちると事故まっしぐらなのでそこまでは大人しくしておいた方が無難です。ちなみにサーファーズは水量次第ではピューマでサイドサーフィンできます。コロラドは瞬殺です。ちなみにここで元オフィシャルH .K君はルーラのTグリップをJラダーの水圧のみで破壊しました。ここでの勝負はフリップの覚悟がないなら行かないほうが良いでしょう。

ⅳ:紅葉橋までと水紀行館前

サーファーズから紅葉橋までは体力と艇間次第では抜きに行くポイントです。ただし、かなりのトロ場でラインも細いので確実に仕留めに行く覚悟で抜かないと自分達が消耗してしまいます。ただ、このトロ場でじわじわと前に出られると「こんな苦しいところでまだ元気なのか・・・」と相手に絶望を与えるので決定打にはなります。失敗すると自分達に決定打にはなりますが・・・。

SPで近年使われている紅葉橋から水紀行間前ですが、オーバーテイクができないとまでは言いませんがラインもシビアで新水公園前で抜くのはかなりキツイです。上級チームで親水公園前で左岸から捲りまくりに行こうとしたチームがいましたが読みが外れて抜けずにただただ消耗したチームもいました。

中級は例年ここで終わりなので、そう考えるとオーバーテイクを狙いにいける箇所は意外と少ないです。みなかみ自体川幅が狭く雪解けで流れが集中してハイパワーになる川なので当然と言えば当然かもしれません。

ⅴ:水上峡オーバーテイクまとめ

水上峡自体降下区間が短くチャンスが少ないエリアにはなります。完全にオーバーテイク不可というわけではありませんが、仕掛けるならココ!と決めていかないとダラダラと勝負してもなかなか難しいものがあります。

そのためスタートのポジション争いがより重要になってきます。

特に中級のチームというのはスプリント能力で勝てなかったチームです。キツイことを言うようですが、ダッシュしても爆発力に欠けるから中級なのです。そんなチームがただでさえ負荷の高いDR中に抜きに行く時だけ神がかった出力を出すなんてことができるわけありません。

前に出られた場合は的確にポケットを利用し、計画的に温存して決め撃ちで仕留めに行くしかないのです。そこで失敗したら相手がラインを外してチャンスが来るのをタイムを縮めることを意識しながら待つしかないというのが現実です。

④諏訪峡OverTake

上級区間諏訪峡ですが、もちろんオーバーテイクのポイントはあります。

しかし、諏訪峡に着く頃にはかなり疲労が蓄積しているのでそこまで待てずにAKIKOあたりで使い切ってしまっていて諏訪峡は漕ぎ力の差が出るということが多いです。しかし計画的に後ろにつけて温存した場合は諏訪峡の方が勝負しやすいというのが個人的な見解です。

ⅰ:龍ヶ瀬

当然ながら瀬の中での勝負はナンセンスです。ナンセンスというか鉄橋同様過失まであります。最後の方のストッパーに接触からの押し込みで相手を横向きで突き落とそうものなら事故まっしぐらです。

最後の左岸にあるヘブンズホール(世代や人によって呼び方が違う・・・?!)を過ぎる瞬間からが勝負です。龍ヶ瀬内を1艇身くらいでつけていればヘブンズホールの突破時にギリギリインに差し込むことができます。そこからラインと漕力でフリッパーズまで勝負できます。

龍ヶ瀬出口イメージ

龍ヶ瀬は左岸の最後に大きなウエーブがあってそのまま行くとヘブンズホールに飲み込まれるようなラインのため右岸に抜けますがそこでホールを半分踏みながらインに差し込むという方法です。先行チームがホールに噛ませても加速させていけばスターンから差し込んで横並びまでは持っていけます。あとは気合次第になりますが勝負をかけるなら瀬の出口からかけられます。

ⅱ:フリッパーズ

当然ながら瀬の中で勝負するのはリスクがあります。

龍ヶ瀬終わりから競り合って左岸につけた状態で相手をフリッパーズの核心部の岩に押し付けようものなら過失では済みません。DR競技はH2Hではないので接触は原則禁止です。それなのに接触してのプッシュで最危険箇所に相手チームを押し込むのは私がレースマネージャーならその団体を永久出場停止処分にするレベルです。

やはり勝負は瀬の終わり際から始まります。

フリッパーズを抜けてショットガンまでの右コーナーも距離は短いですが抜きにはいけます。

ただ全体的に川幅が狭く先行するチームの降下ラインも被ってしまいブロックされがちなので「ここで仕掛けろ!」とは言えないポイントです。

一発勝負に近いオーバーテイクの体力消耗ポイントをここで使うのは少々キツイものがあるかと思います。

ⅲ:メガウォッシュ

ショットガンからメガウォッシュも微妙に間隔があり焦ったチームはここでも仕掛けそうになりますが、メガウォッシュはエントリーが狭くほぼ一本なので相手が余程大きくラインを外さない限りはかなり難しいです。また、水量次第では核心部直後に中央から左岸にかけて大きめのストッパーが発生することがあります。ダッキーでは十分ハマれるサイズなのでラフトも減速はするでしょう。

エントリーから出口までラインは一本なのでやはり瀬の中での勝負はナンセンスとしか言えません。

ⅳ:ラストスパート

メガウォッシュが終わると名もなき瀬が続いたあと大きく右コーナーしそのままストレートで銚子橋です。このエリアの難しいところは「結局ラインがわかりやすく上級チームは外さない」ということです。左右に蛇行はするもののラインが見やすく相手が外すの待ちでは前に出られないのです。ということはどこかで一気に体力を使って前に出なければいけません。

ポイントは大きな右コーナの手前からです。右コーナー後に少しの間だけラインがボヤける部分があります。そこで全体力を注いでインに差し込んで少しでも前に出られれば次の本流は右岸寄りに来るのでオーバーテイクが可能です。ただし、右岸に外しすぎると今度は自分たちがボイルの餌食になるのでかなり際どいラインどりになります。ここでは純粋にラインと出力・タイミングなどの駆け引き勝負になるので最後の最後正々堂々挑むならラストの右コーナーが最大の勝負ポイントと言えます。

問題はみなかみのラストなので体力は残っていないという点です。無駄な勝負を何度も仕掛けていると後ろのチームは疲弊します。個人的には龍ヶ瀬で後ろになった瞬間ここでの勝負を見越して後ろにビタ着けからの勝負待ちに移行します。

最後の最後トロ場に突入してからも気合の消耗戦を仕掛ければチャンスは作れますが、ここで絞り出せるのならそもそも前を取られていないよねということになり今度はDRタイムが期待できなくなります。

ⅴ:諏訪峡オーバーテイクまとめ

諏訪峡は瀬のパワーはあれどその後のトロ場が水上峡よりも明確に表れます。

瀬の中での追い越しは危険行為となりますが、瀬の出口から加速してオーバーテイクに移行するポイントは水上峡よりも掴みやすいかもしれません。

しかし、水上峡を超えて降下タイムも積み重ねているのでどうしても疲労蓄積状態での勝負になります。疲労が溜まった状態ではどうしてもピッチをあげると空回りしたり、ピッチングだけが激しくなったりしがちです。計画的に最終勝負まで体力を残せればいいのですがどうしても手前で焦って使い切ってしまいがちになります。

諏訪峡で勝負したいと思ったら水上峡の中盤あたりからペース配分と相手との艇間を考えておかなければ難しいかもしれません。

チームスタイルとしての戦略

ここからは少し漕ぎにフォーカスした戦略もお伝えしていきます。

ラフティングは通説では「前の二人がエンジン。後ろの二人が操舵。」と言います。私もそう教わりました。しかしこれは半分正解で半分間違いです。前の二人がエンジンしかしていないと必ず途中で潰れます。そもそも前二人はラフトボートの重心より前にいて「引っ張る力」で漕ぎます。正直引っ張るのは難しいのです。対して後ろの二人は重心の後ろにいるので「押す力」で漕げます。体重の乗せやすさなどの観点からも押す力の方が強力にでます。それなのに力を発出しにくい前の二人にばかり漕がせると潰れるのは目に見えています。しかし、水に浮いているボートの構造上後ろの方がコントロールが効くというのもまた事実です。前のラダーは慣性を発生させることはできても最終のスターン処理まですることはできません。

これにより言えるのは「前はエンジン兼スタビライザー。後ろがターボ兼操舵。」です。スタビライザーとは車についているアンチロールバーなどですがわかりにくいので直訳すると「安定させるもの」です。ブレないように調整したり急コーナーできっかけを入れたりとボートの巡行を安定させながらも出力を生み出すエンジンとしての役割を果たすのが前二人です。後ろはエンジンに空気を送り込みさらに加速させていくターボです。車好きの方はわかるかもしれませんが、ターボはツインターボやスーパーチャージャーではない限り低回転域ではただの「バラスト(オモリ)」です。せっかくエンジンが回転したものを重さで邪魔して加速を阻害します。しかし、回り始めるとドカンと加速がきます。ラフトもこの通りで後ろがサボって調整だけしているチームはただオモリを乗せて二人で漕いでいる船なので遅いです。コーナあけの立ち上がりや直線での加速・巡航期にいかに後ろの二人も一緒になって漕げるかでタイムは変わります。

そのためのポイントを何点か解説していきます。

ⅰ:ボートを滑らせない

リバベン初参加チームではなくぶっつけ本番OBチームでよくやる手法なのですが、コーナーギリギリでラダーをして合うかどうかわからないから少し手前からボートを滑らせておいてタイミングを見て後ろの加速でグリップさせるという方法です。これをやられると前はじわじわと削られていきます。私はあまりにもやられすぎて一度キレたことがあります・・・。

図では左右とも結果的に同じように曲がっていますが、右側はスライドの時間が長くなります。細かいテクニックは多々あれど、ある程度技術がある後ろはタイミングがとりやすいのでこれをやりたがります。この滑っている時間というのは前にとっては苦痛で、ボートは側面からの抵抗で減速したがるのでそれに抗い続けている状態になり体力消耗は倍です。

基本は直線的に進んでいきコーナーは曲げたらしっかりと立ち上がらせるというのが基本です。大きくコーナーさせて後ろで立ち上がりのタイミングを伺うのは後ろはいいですが前二人が疲れてしまいます。

ⅱ:中級は基本「先行逃げ切り」

ここまで解説してきたようにみなかみでのオーバーテイクは川幅もない上に危険箇所が多くなかなか難しいというのが現実です。レース経験が少ないチームだと、スタートでは後ろにつけて相手が疲れたところを抜きに行けば良いと考えがちですが、まあまあ失敗します。ある程度の体力とテクニック・みなかみの構造を理解している若手OBチームであれば隙を見てオーバーテイクできるかもしれませんがそれでも水上はポイントが少ないので焦ります。

コースも短くポイントも少ない中級においては基本的に「先行逃げ切り」です。とにかく最初に前に出て自分達のペースで漕ぎ続けるのが最も楽です。

それくらいレースのスタートには体力を使い込む価値があります。

ⅲ:瀬で詰めるのは難しい

瀬の中は流れも早く、進んでいる感じがするのでついついペースが上がりがちです。逆にトロ場は水も重いし苦しいのでペースが下がりがちです。トロ場で苦しくなってきてそれでも早く進みたいから途中で10パドル強くなんてやると重い水を強く漕ぐのでさらに苦しくなります。

確かに瀬の中というのはしっかり漕いでいないと波による立体運動でボートが減速しやすくコントロールを失いがちです。そのため必要な箇所では漕いでボートに力を伝え続けなければいけません。しかし、必要以上に漕いでも実はそこまで加速できません。ラフトボートは大きい上にゴム製でたわむため波の抵抗を非常に受けやすいです。早くなったところでその分ウェーブの影響をうけやすくなるためトップスピードの限界値が低いのです。そのため「瀬に入った!早く感じる!ここで追いつくぞ!!」と意気込んでもほとんど差は縮まりません。

重要なのは瀬の出入り口です。

まず入口ですが、SL編でも解説したように瀬の中で加速させるのは非常に難しいです。ボートが立体運動するので身体の軸がしっかりしていないと姿勢制御ができないのでパドルがまともに入水できず漕げなくなります。そのため入口(エントリー)からしっかりと加速させラダーが効くスピードを確保しておく必要があります。初心者チームの特に弱いポイントの一つです。特に複雑な瀬になると岩を避けようとしたりコントロールしないとという意識が強くなり、エントリーなのに漕がずに前も後ろもアレやこれやと調整だけしているチームが非常に多いです。多少ズレてもしっかりと加速しラダーが効くだけの余力を残す方が大切です。

そして出口ですが、ここがタイムを出しに行く上では最も重要です。瀬の中ではトップスピードの限界値は低いと書きましたが、これは頑張りに対してのコスパが悪いという話でありトロ場よりは圧倒的に速いです。瀬の中で得たスピードをトロ場から次の瀬のエントリーが始まるまでの間どれだけ引っ張れるかが勝負を分けます。瀬の終わりから減速させる要素を減らしスピードを維持する漕ぎに変えていけば途中で10漕ぎ強くなんてやらなくても十分にタイムが出ます。

漕ぎの切り替えは少々難易度が高いですが、ピッチングを抑制しライン重視で後ろ2人が押し出すように後ろまで引き切るような感じで漕ぐといったイメージです。

瀬の中ではなく瀬の前後をうまく使って加速していけるとレース全体も楽になります。

DR戦略のまとめ

本当は書きたいことはまだまだありますし、細かい戦略やチームごとのストロングサイドの話など重要な話はたくさんありますが、書きすぎても訳がわからなくなるのでリバベンに向けての基本戦略はこの辺にしておこうと思います。

とにかくみなかみレースのDRは「先行逃げ切り」です。中級を例に出しましたが上級も基本は一緒です。後ろにつけて良いことはほとんどありません。

さて、ここまで色々と戦略や追い越しポイントを書いてきましたが、ダウンリバーは唯一コース一本を全区間漕げる競技です。地形の変化や風向き・景色の移り変わりなど同じ箇所は一切ありません。純粋に川を楽しめる競技です。どうしてもレースとなると苦しいものと思うかもしれませんが、呼吸を整えながら一瞬でも良いので全体を見渡してみてください。みなかみにも素敵な景色がたくさんあります。そしてそれは川の上に出なければ決して味わうことのできないものです。レースで追い込みながらでも良いのでラフティングの醍醐味の一つ「大自然の景色を楽しむ!」をDR競技を通してぜひ実感してみてください。

コメント