【リバベン直前】川下りの技術。より安全に!より効果的に!

さあ!今年もリバベンが近づいてきました。

この時点のアップなので公式練習もあと1setしかなく「今更技術提供されてもおせーよ!」と言われそうですが、自分たちで練習を組み立てられるチームはすでに仕上げに入っていると思うのでその差だと思ってください。

カヌースラローム競技でも公式練習期間というのは設けられており、実際のコースで練習することが可能です。しかし、リバベンとは少し毛色が違い選手ごとにタイムテーブルが組まれておりこの時間であればコースを好きに使ってもいいというだけのものです。適当に数ゲート練習用には張っていますが使うか使わないかは自由で自分で想定を組んで練習するのもありです。

リバベンの公式練ではわざわざセットを組んでくれたり計測してくれたり、合同降下のマッチングをしてくれたりもしますが、本来そんなものは選手が自分で考えるべきことでオフィシャルは場所と時間を提供するだけというのが一般的です。

そこで今回はリバベン公式練習の中でも選手の主体性に任せられるDRを取り上げてどのように降下すればより効果的かをコーチの視点からお伝えしていきます。

そもそも昔のリバベンは・・・

昔話をすると老害認定されそうですが、リバベンの歴史も踏まえて非常に重要なのでお伝えしておきます。私が参加していた頃の36回大会ではSLは3ウェイズ、SPは法政岩から温泉街全部でした。そのため公式練習はDR練習がメインとなり、水明荘スタート紅葉橋ゴールでその中でSL・SPがあるから各自やっておいてねというものでした。

37回大会で元吉委員長のもとSLがAKIKOに降ろされSPが水紀行館前に変更になり、公式練のタイムスケジュールも大幅に変更になりました。実は50回近い大会も今の形になったのはここ10回の話なのです。

私が出ていた36回では公式練習は基本DRがメインで午前いけて3本、午後行けて3本の1日MAX6本のDR練習がメインでした。当時はブロワー(送風機)を持っている大学なんてほとんどなく手押しポンプでロールアップした船を膨らませていたのでかなり時間がかかっていました。手押しポンプもカールソン6バレルが日本に入り始めた頃で、NRS5バレル(エアー漏れの鬼)や現在ではSUPを膨らますようなダブルアクションポンプがまだまだ現役でポンプアップだけで膨大な時間が取られていました。その中で日曜の午後だけは諏訪峡DRが組まれていたりといった程度でした。

DR練習の重要性

どうしてもSPで計測してくれたりSLでゲートを張ってくれたりH2Hでマッチングをしてくれたりというサービスがあるとみんなそっちを大事にしがちです。実際に今の選手と話していてもDRが好きという人はほとんどいません。しかし、レースラフティング競技の競技性の本質はDRです!「川下り一番早いやつ決めようぜ!!」がラフティングのはずです。実際やっていけば分かりますがDRの技術の中にほとんどの技術が集約されています。SPは体力勝負になるのでその限りではありませんがSLの技術なんかはDRの練習をして遊んでいるだけでも大半が身につきます。

問題は一度のDR練習をいかに有意義なものにできるかです。

残念ながら今の現役生と降っていると「とりあえず一本降りまーす!」といってガンガン漕いで行ってしまいます。これではなかなか上手くなりません。だからと言って「止まりながら要所要所で練習しまーす!」といっても何をしていいかのストックが頭にないのでただエディーで止まって一服してまたDRを繰り返してしまいます。

リバベンの公式練習DRはその最たる例です。集団降下でペースを乱せないという強迫観念からただ本流をまっすぐ降る会になっています。これでは上手くなりません。正直本流を流れるだけであれば木の葉でもできます。

本流から外れ再び戻るというストリームアウトとストリームインをスムーズに繰り返すという練習だけでもかなり変わります。

私がよくやるのは漕がずに全部のウェーブを横当てしたりなどです。さすがにみなかみでは場所を選びますが地元の岩木川などは何ヶ所か除いて他は漕がなくてもいけてしまいます。始めたばかりの一年生などは先輩からの怒声により絶対にウエーブに対しては真っ直ぐじゃなきゃいけないと思い込んでいるのでその勘違いを解く意味でもわざと横当てしたりします。それが発展していくと横当てしたキックをブレーキに使って自分は漕いでいるだけで目的地に行けたりといった技術に派生します。結局のところDR の遊びが派生しただけなのですがそれを体感的に知っているというのは大きなアドバンテージになります。このような様々な経験を与えてくれるのが川下り『DR』練習なのです。

公式練習「DR」で止まってはいけないというルールはない

リバベンの大会要綱に「公式練習中DRにおいて集団降下の輪を乱さないために、レスキューなど有事の場合以外はエディー待機は認めない。」といった規約は存在しません。

普通に考えれば練習なので何をしてもいいはずです。

集団降下は「万が一の際には助け合って・・・」という理論のもと行われていますが、実際は自分たちでリカバリーできないような素人チームの面倒を上手いチームに見させているというのが実情です。これにより上手いチームは止まりたいところで止まれないという状態に陥ってしまっています。

本来であればセルフレスキューに不安のあるチームでも降下を認めるというのであればオフィシャル側が安定するコマーシャルボートを1艇借り上げて公式練から来てくれるスタッフを調達し弁当なり日当を出し安全対策をした降下グループを組むという取り組みも必要なはずです。

公式練習DRの練習方法

そうはいっても今年はもうそんなシステム組めていないし、今更文句を言ってもしょうがないのでDRしながらできる練習を紹介していきます。

意識するだけで変わるのでできそうなチームはやってみてください。

①とれそうなエディーは全てとる

ガイドトレーニング時などにやる練習の一つです。ボート1艇が入れそうなエディーなら極力取っていくというものです。もちろん失敗して落とされることもありますが、それはそれで実力のうちなのでOKです。

この練習のポイントは急がなくてもいいからボートを止めないということです。どうしてもエディーに入ると下流慣性が強く一度止まってしまうチームも多いかと思います。これを極力止めずにボートが動き続けた状態を維持する練習が大事です。もちろんエディーに入って「ふぅ、一休み。」なんてやっては行けません。ストリームアウトからストリームインまでを一連の流れとして船を動かす練習なのでそのまま出ていきます。

これであれば集団降下でも止まって練習ではないのであまり周りに迷惑をかけません。

②Sターン

みなかみには数ヶ所ですがSターンできる岩があります。

Sターンイメージ

Sターンとは真ん中にあるような岩を入った方とは逆に飛び出すターンです。ラインの軌跡がS字に見えることからそう呼ばれます。

Sターンのポイントもエディーを取ると同様でボートを止めないということです。また、御岳カップなどをみているとSターンになっていないターンをしているチームが多く見受けられます。

Sターン失敗イメージ

画像のように岩下エディーからのストリームインの位置がストリームアウトの位置よりも下がっているというのはよろしくないです。そこにアップゲートが張られていた場合通っていないということになります。

Sターンはカヌーの練習でも非常に有用でリーンの切り返し練習に使います。上の画像であれば岩下にストリームアウトする際は左リーンでそこからエディー内ではニュートラル、そして再びストリームインする際は右リーン。と言った具合でボートのリーンを調整していきます。これをいかに滑らかにパドルで補助せずに行えるかで実力に差が出ます。

御岳のSターン岩は右岸エントリー左岸アウトがメインなので左右差ができますが、みなかみには左右行える場所があるのでリバベンのためだけではなく練習しておく価値はあるでしょう。

③ストローク制限

以前の記事でも何度も書いていますが、ストローク数制限は非常に有効です。正直下手なチームほどたくさん漕ぎます。しかし、現実問題としてDR区間全てでパドル数を数えるのは不可能なので上記①②に付随してエディーを何パドルで出られたかや、SL練習でもゲート下何パドルでストリームインに入ったかを事後の動画検証でもいいのでカウントしてみると良いでしょう。

そこで自分達が「上手いな」と思うチームと「実際にタイムで早い」チームも見て検証していくと良いでしょう。

この練習もDR練習をしながらエディーを取って意識していくだけでできるようになってきます。

パドル数を制限するということは事前のライン作りやリーンのオン・オフの切り替えでやっていかなければならないということなのでそれだけでもいい練習になります。

まとめ

今回はDR練習で使える簡単な練習方法について解説しました。

リバベンに限らず普段各々が練習している川でも当然使える練習方法なのでぜひ色々な川で試してみてください。

ラフトではなかなか感じにくくてもダッキーでSターンがキレイに決まった時などはアップゲートの疲労具合も段違いで体感的にもわかりやすいので練習してみてください。

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