これから川を始める人も、すでに川にハマり始めた人も一度は考えるのが『個人艇』ですね!カッコよく川を降りたいから始めたなんて人も多いかと思います。そこで誰もが悩むのがボート選びです。予算の都合上何となく良さげな中古艇が売りに出たら勢いで買っちゃうなんて人もいるでしょう。
ちょっと待ってください!!本当にその船はあなたのニーズに合っていますか?それ以前にスキル的に乗りこなせますか?いい船が欲しくて買ったけどスキルが追いつかず壊してばっかりという人を何人も知っています。逆にもっといい船のればレースで結果出せるのにという人も大勢います。
今回は難易度別に個人艇として使える船をリストアップしメリットデメリットを解説していきたいと思います。皆さんの川ライフの参考になれば嬉しいです。
※完全に個人の見解です。初めて個人艇に乗るという方はスクールに通うなり上級者にお願いするなどして十分安全に配慮して楽しんでください。
★☆☆☆☆【初級編】ダッキー
個人的に一番乗りやすく汎用性が高いのはダッキーです。正式名称「インフレータブルカヤック(カヌー)」といいます。大学の探検部なんかがよく使っています。通常は写真のようなタンデム(2人乗り)を使用しますが、もっと短くて回転性の高いソロ(1人乗り)のラインナップもあります。ツーリングからレースまで幅広く使用可能で非常にオススメです。多くのツアー会社でレスキュー艇として使用されるほど機動性・積載性・安定性に定評があります
メリット
- 安定感がある。
- オープンデッキなので水上での再乗艇が比較的容易。
- 積載性が高い。
- 岩など障害物に当たっても簡単に壊れない。
- 折り畳めるので持ち運びが容易。
- 安定感・直進性があり足も伸ばせるのでツーリングに便利。
デメリット
- 都度空気を入れなければならない。
- ゴムチューブなので万一バーストすると修理が面倒。
- ボート自体が大きいのでクイックな動きは難しい。
家族で子供を乗せて簡単な川をツーリング・ラフトの練習用に・クローズデッキは怖いからハイウォーターを下るようになど様々なニーズに応える非常に優秀な船がダッキーです。
◯個人的オススメコメント
学生時代散々お世話になりました。本当に汎用性が高くオススメです。個人的にはAIRE社のリンクスⅡが最強です。速いし安定感あるしで使いやすい船です。ラフトの練習にもなるのでいいです。
★★☆☆☆ 【初級+】ダウンリバーカヤック
次のオススメはそこそこの長さがあり直進性の高いダウンリバーカヤックです。そこそこの安定感がありフェリーグライド・ストリームインという基本動作がしやすくツーリングをしながら適度に遊んで降りたいという人にはオススメです。ダッキーと違いクローズデッキの船がほとんどなのでツーリングにはセルフレスキューやロールが必須となってきますが、川下りという楽しみのためには必要な練習でしょう。
メリット
- 直進性・回転性ともにちょうどいいレベル。
- ポリ艇なので岩に当たっても簡単には壊れない。
- 長さ的にもスラローム艇に近く練習艇になる。
- オールラウンドにどこでもいける。
- ツーリングをしていてもそこそこ足が速いので楽。
- 静水トレーニングにもちょうどいい重さ。
- 長すぎないので車の積載性がそこまで悪くない。
デメリット
- サイズがあるので重い。
- スラローム艇などと比べてしまうとどうしても回転性が鈍い。
- ポリ艇の特徴で完全に割れてしまうと修理が効かなくなる(一応ホットメルトという手段もあるが再発しやすい)。
- クローズデッキなのでセルフレスキューやロールの練習が必須。
- ハイウォーターを降ろうと思うとそこそこの経験が必要。
今ではもう廃盤(?)になったようですが不朽の名艇prijonのスクールという船がありました。ダウンリバーでもレイクツーリングでも草レースでもいけるいい船です。今でも各地のカヌー協会やスクールが所有しています。知り合いがいれば譲ってもらえるかもしれません。私も師匠のところでは当初その船で練習しました。
◯個人的オススメコメント
スラローム競技の方に進みたいけどスラ艇はまだちょっとという方にはオススメです。長さ的にもちょうどよく瀬遊びしながらのロングダウンリバーには最高です。スラ艇を買ってからも持ち続けて「ツーリングで遊ぶ用」にとって置くのがオススメです。
★★★☆☆【中級編】SUP
最近流行りのオシャレ系アクティビティーの一つです。サーフボードのような板の上に立ってパドルで漕ぐというスポーツです。
しかし、現実問題かなり事故が多いです。川ではなくどちらかというと手軽に始められる海で多いようです。「疲れてしまってもう漕げない」「方向を見失った」ということで昨年も何度も海上保安庁が出動しておりJSCA(日本セーフティーカヌーイング協会)内でも問題になっているそうです。
ボードもコストコで買えるし、メディアで取り上げられて認知度も上がってきてるしでいいのですが事故が増えるのはいただけません。SUPは手軽ですがそれこそ技術がないと非常に危険です。個人艇もいいですがまずはスクールに通うことをオススメします。
メリット(リバー編)
- インフレータブルなので持ち運びやすい。
- ダッキーと同じで体が固定されないので自由度が高い。
- 視点が高く見晴らしがいい。
- 再乗艇が可能。
- フィンがあるのでまっすぐ進みやすい。
- 写真映えする(重要笑)
- 値段が手頃。
デメリット
- 海とは別物なので川の勉強から始めなければならない(他のボートも同じです)。
- インフレータブルの圧力が高くポンプアップが大変。
- 立っていて重心が高いので崩れやすい。それによりこけた時のダメージもデカイ。
- フィンの長さや位置を感覚的に捉えられないとよく折れるし怪我する。
SUPで立って川を下るというのはカッコイイですし憧れますが、それこそ川を読む技術が必要な上にウエーブに合わせて重心移動するという体幹も必要になります。
とにかく始める際にはスクールに通うか上級者に同行をお願いするのが無難でしょう。
◯個人的オススメコメント
個人的にはリバーよりもレイクが好きです(笑)。視点が高く全身使えてゆったりと漕げるので長めのボードで広めの湖をゆったり漕ぐのが好きです。落ちても登れるので色々な遊びもできて飽きません。
★★★★☆【中級+】フリースタイルカヤック
流れの中でトリックを決めるフリースタイルカヤックですが、「技を決める」というところまで考慮するとほぼほぼ上級者仕様です。エアリアルな回転技を決めたりするのは憧れですがなかなか素人にはできない芸当です。フリースタイルに憧れて個人艇を買うという人も多いですが、なかなかロールができなかったりバウステまでいけなかったりで挫折する人も多いです。
メリット
- 技を決められるとカッコイイ!(マジで)
- ボート自体がかなり小さいので1人乗りならトヨタ・ヴィッ◯の中にもはいる。
- やっている人が多いので教えてもらいやすい。
- ボート自体に安定感があるものが多く初めてでも意外ととっつきやすい。
- 人気種目なのでギアが豊富!(重要!)
- 川下りもできなくはない。
- 中古艇が豊富。
デメリット
- ロールできるが前提になるのでできないと辛い。
- ひっくり返った先の岩でちょくちょく怪我する。
- ボートが短く直進性がないので一度落とされるとなかなか漕ぎ登れない。
何よりも「水の中に入ることが前提」というところにハードルを感じる人が多いようです。うまくなってしまえば一瞬なんでしょうがそれまでの練習の過程で鼻栓をしてまでひっくり返るのは嫌だという人が結構います。
「水中に抵抗ありませーん」「むしろ寒くても泳いでいたいくらいでーす」なイケイケな方はいい船かもしれません。何度か個人艇を借りたりして乗ってみて「いける!」と思ったら買えばいいと思いますが、いきなり「技決めたいから!」でフリースタイルカヤックを買うのはあまりオススメできません。
◯個人的オススメコメント
実は一番最初に私が買った個人艇はフリースタイルです。ウェーブスポーツのPX56という船を買いました。乗りこなせませんでした・・・(泣)。しかし、ロールはできるのでセーフティーカヤックや5キロ程度のダウンリバーにはちょうどよく使っています。技を決めなくてもそこそこ楽しんで川下りをできる点ではいいと思っています。
★★★★★【上級編】スラローム艇
最も難易度的にオススメできないのはスラローム艇です。もちろんスクールに通っていて競技をやってみたいからスラ艇を買うというならわかりますが、個人艇素人がいきなりスラ艇を買うのはオススメできません。
メリット
- 回転性・直進性ともにずば抜けて高い。
- 正直川の中での機動力は最強!
- 漕ぎ登りからダウンリバーまでなんでもできる。
- 競技のレギュレーションさえ満たせばそのままレースに出られる。
- カーボン製なので軽い!
デメリット
- カーボン製なので岩にぶつけるとすぐに壊れる。
- 競技用なので居住性や積載製は皆無。C-1のダウンリバーはほぼ拷問。
- そこそこ長く壊れやすいので保管にも気を遣う。
- 機動力は高いがその分スポーツカーに近く、技術がないとせっかくの性能を乗りこなせない。
個人的には壊れやすいが最大の懸念材料です。初めて行く川など、どこに岩があるかわからない川では絶対に使いません。その場合他のツーリング用の船との2艇持ちが基本となりコストがかかります。
◯個人的オススメコメント
機動力が高いので川の中で本当に色々なことが試せます。何よりゲートをきれいに早く通れた時は快感です。競技性があるものが好き、結果が出るものが好きという方にはオススメです。
まとめ
もちろん個人艇には今回紹介した以外のものもあります。
今回は私個人が乗ったことがあって、特色が出やすいものを5つ紹介しました。
人によってカヌー・カヤック・パドルスポーツに求めるニーズは違うかと思います。「なんか合わないな」と辞めてしまうのではなく、自分に合ったパドリングライフを見つけてください。
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