レースラフティングに対する考察①「前後バランス」

ここでは競技として成り立っている「レースラフティング」に対して、自分の競技経験や、ガイド経験、カヌー競技の経験を元に考察を加え、読んでくださる方の糧にしてもらえればと思います。

前置として言わせてもらうと、他人のやり方・スタイルを否定する気は一切ありません。また、私が間違っているということも十分にあり得ます。

「こんな考え方もあるんだ」「こんなやり方もあるんだ」「こんなこと考えなかったな」といった程度に読んでくだされば幸いです。

前置きが長くなりましたが、第一回目の今回は「ボートの前後バランス」についての考察です。

水に浮いているだけのラフトボートですので必ず前後左右のバランスがあります。左右のバランスは完全に体重のバランスになるので簡単には解消できないかと思います。

しかし、前後のバランスというのはソート(Thwart)の位置でいくらでも調整できます。

言ってしまえば一番簡単に水の抵抗を減らすためにできることと言えます。

写真の位置では綺麗に4人が真ん中に乗っています。無駄な水の抵抗はほぼゼロでしょう。

しかし、このセッティングのまま6人乗るとどうなるでしょう?

おそらく前傾か後傾かのどちらかになるでしょう。

結局何人乗るかでセッティングが変わります。

よくレース前に練習しているチームを見かけますが、ここを疎かにしているチームが多くみられます。

前傾させると船が水に刺さってしまい抵抗が大きくなります。

後傾でももちろん水の抵抗が上がります。また、後傾の場合後ろが水に喰われるのでフリップのリスクも上がります。

意図的にやるならいいのですが、無意識というのは危険です。無意識だと失敗してもそこに意識がいかない可能性があるからです。

では次に前後バランスをつける場合の注意点です。それは「単純に座りやすいセットにしない!」というところです。

「これだと後ろが窮屈」「足が当たって痛い」という理由でセットを変える人がいますが、これは原則NGです!!

確かに「漕げないほど窮屈」「ちょっとした波で脱艇しそう・・・」というなら変えるべきです。しかし、多少窮屈なくらいでは変えるべきではないと思います。

片足が窮屈なくらいでタイムが縮むならやるべきだと私は思います。

体のホールド感も大事ですが、ボート全体のバランスに合わせてあげるという方がいいかと思います。

1人乗りのカヌーでも、シートを取り付ける際は「自分が乗りたい位置」ではなく「回転軸の位置」に合わせて取り付けます。そして後でフィッティング材やら水着で調整します。

『まとめ』

・R4とR6で乗る位置は変わる。

・どちらかに寄せるのではなく基本は真ん中。

・多少の窮屈はそこに漕ぎ方を合わせる。

ぜひ集まったらチームでフィッティングについて話し合ってみてください!

[余談]

グモテックスの場合「ソートのアンカー位置が悪くて思うようにセットできない」という話をよく聞きます。確かにセットしにくいですが、それは言い訳です。置きたいところにソートを置いて前後の穴に細引きをかけて張ればいくらでも調整できます。

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