【レビュー】ペリカンケース1120

個人的には水上に出る時の必須アイテムといえば防水バックなのですが、人によってはポケットにスマホを入れたまま静水練習をする人もいるくらいなので防水バックの需要はもしかして下がってきているのでしょうか?笑

とは言いつつツアーのお客様でもスマホを防水ケースに入れて持っていっても良いかと聞いてくる方もかなりいるので一定の需要はあるのでしょう。

個人的には首から下げられるようなタイプのスポーツ用品店で売っているタイプの防水ケースであればツアーの際はおいていくようにすすめています。ラフティングであれSUPであれボートに再乗艇する際はPFDの胸部が激しくボートと擦れます。それで接合部が破損して防水ケースの紐部分だけを残して本体が水中に消えてしまった方を知っています。便利な防水ケースですが、パドリングの場面においてはなかなか気をつけて使わなければなりません。

そこで私が使っているのが『ペリカンケース』です。

一昔前は川での防水バックといえば「ペリカン」だったのですが近年はモンベルやNRSが簡易バックをたくさん出しているのでペリカン自体の認知度も下がっているようです。

そこで今回はペリカンケースを紹介していきます。

圧倒的強度

ペリカンケースは防水・耐衝撃のハードケースです。モンベルやNRSから発売されている防水ケースの多くは袋状で道具を入れたら折りたたんで密閉し最後にバックルで止めるというものがほとんどです。もちろんそれでも防水にはなりますし、ファーストエイドやレスキュー用のプーリー(滑車)を持ち込むのであればそれでも十分でしょう。しかし、電子機器となると踏まれるたりレスキュー時にパドルをぶつけられるわけにいかないのでケースに入れてボートに繋ぐ場合には強度も重要になります。

ペリカンケース

ペリカンケースの特徴はなんと言っても圧倒的な強度です。

ペリカンHP

ホームページでも紹介されているようにかなりタフな環境下での使用が想定されているのでかなりの強度があります。

落としたり岩にぶつけた程度では壊れません。

本当はあまり良くないのでしょうが、知り合いのガイドはツアー用のボートのバウにつけて漕いでいて時折ペリカンケースを岩とボートで挟んだりしています(足元に積むと邪魔になるので外にぶら下げているようです)。それでもケース表面は傷付くものの中身は全然平気です。

パッキン部分

防水性能も高く、パッキンさえしっかりしていれば浸水することはほぼありません。逆に気密性が高すぎて濡れた手で触れたものを入れておくといつまで経っても中が結露して乾かないくらいしっかりとしています。パッキン(Oリング)だけでの購入も可能なので気に入ったものを長く使うこともできます。

サイズバリエーションが豊富

私が使っているのはハードケースの1120というサイズですが、GoProや携帯を単品で入れるだけのパーソナルケースという小型のものや一眼レフとレンズが入るような大きなサイズのものなどいろいろなバリエーションがあります。

ただ、ラフトボートに積んで川下りをする場合は携帯と車の鍵とコインパーキング用の小銭入れなどちょっとした小物が入ればいいだけなのでそこまで大容量のものは必要ないでしょう。

1120のサイズ感
1120のサイズ感②

スマホやGoProを入れてもまだまだ余裕があります。

本来は蓋部分についているようなスポンジが中にも入っており、入れるものが決まっている場合はカットして専用ケースにすることも可能です。

大きすぎるとボートに入らない…

陸上で高価な一眼レフや望遠レンズのハードケースとして使うのであれば「大は小を兼ねる」ということで大きくても全く問題はないのですが、積載容量が決まっている場合は大きすぎると邪魔になります。

ボート積載イメージ

画像のボートはストライクのソロですがオープンデッキのダッキーでも1120サイズは正直ちょっと邪魔です。これ以上大きいサイズになってしまうとひっくり返った際などに水圧を受けてリカバリーの邪魔になりかねません。

ラフティングボートであってもR4ならスペースがありますがR6やツーリング・ツアーで人がたくさん人が乗る時は正直足元にあるハードケースは大きいと邪魔です。カヌー・カヤックといったクローズデッキのボートにはそもそも入らない場合もあります。

スラ艇 C-1

ちなみに個人のC-1スラ艇には入りませんでした…。腰回り、膝回りともにフォーム材で固めているのでバウ側にもスターン側にも押し込めず積めませんでした(そもそも競技用でそういう用途は想定されていない)。カヤックであればシートの前に多少スペースがあるので1120サイズまでであれば入るかなという感じです。

注意点

ハードケースなのでスマートフォンなど使用時は基本的にケースから取り出して使うという形になります。そのため取り出している際は完全に無防備です。水上で使用したりする際に手を滑らせて落とすと終わりです。また、ケース自体水には浮きますがカラビナ等でしっかり固定しないと普通に流されていきます。過信は禁物です。

さらに電話やメールの受信などにはほぼ気づけません。ハードケースで気密性が高いのでほとんど音漏れもしませんし中のスポンジのせいでバイブレーションもかすかに感じる程度です。静かな室内であれば気づけますが川の上で鳴っているかどうかは全然わかりません。個人的にはガーミンなどのスマートウォッチ(完全防水)とペアリングして通知を確認していました。

補足:簡易的なケースはオススメできない

スポーツ用品店などで売られているスマホを入れるだけのケースはラフティングやカヌーの現場においてはオススメしません。理由は単純で壊れやすいし信頼性が低いからです。

スマホ用防水ケース

上の画像のようなものが100匀やスポーツ用品店で夏になるとたくさん売られています。値段や性能云々ではなくオススメしません。

海やプールなどであれば良いのですが、パドルスポーツとなるとほぼ100%ライフジャケットを着用します。そしてライフジャケットのポケットや胸との隙間に入れます。そうすると生地同士が擦れて防水ケースの表面が破れてしまいます。また、ライフジャケットはバックルやチャックなど硬い部分が多く防水ケースを破損させる原因となってしまいます。

防水ケースイメージ②

また、多いのが画像のように袋を閉じるためのプラパーツとの接合部の破損です

防水ケース接合部の負荷

防水ケースはプラパーツでビニールのような生地2枚を押さえつけるようにして気密性を出すのですが、その特性から図右側の赤矢印で示した部分にものすごい負担がかかります。さらにポケットに収納するためにプラパーツの部分を下に織り込んだりするのでさらに負担がかかりビニール部分が劣化し穴が空いてしまいます。使った感じ1週間ツアーで使用すれば破れるといった印象です。ハードユーズには向きません。

まとめ

今回はペリカンケースを紹介しました。

個人的にはツアーに出る時の必需品と言ってもいいような道具です。近年ではレースシーンでも要項に「緊急連絡用のスマートフォンをチームごとに持参」と書かれていたりするので防水ケースが必須になってきています。ビニールタイプでも結構ですが、ビニールの経年劣化は早い上に破損しやすく破れてしまった場合は買い替えになるのでハードケースが一つあると便利かと思います。

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